角幡唯介『犬橇事始』発刊記念トークセッション

角幡唯介『犬橇事始』発刊記念トークセッション

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北極から帰った角幡さんの話を聞くため、東京へ。

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探検家、角幡唯介さんの新刊『犬橇事始』の発刊記念トークへ参加。角幡さんは探検部時代の幹事長で、1年上の先輩だった。今回、角幡さんの同期である笠井さんと一緒に参加。笠井さんはモンゴル・ロシアカヌー遠征隊(1990年)の隊長。様々な世界で活躍する先輩達の話を聞くのは面白い。

裸の大地 第二部 犬橇事始/角幡 唯介 | 集英社 ― SHUEISHA ―
一頭の犬と過酷な徒歩狩猟漂泊行にのぞんだとき、探検家の人生は一変し、新たな〈事態〉が立ち上がった(『裸の大地 第一部 狩りと漂泊』)。百年前の狩人のように土地を信頼し、犬橇を操り、獲物をとりながらどこまでも自在に旅すること。そのための悪戦苦闘が始まる。橇がふっ飛んで来た初操縦の瞬間。あり得ない場所での雪崩。犬たちの暴走と政治闘争。そんな中、コロナ禍は極北の地も例外ではなく、意外な形で著者の前に立ちはだかるのだった。裸の大地を深く知り、人間性の始原に迫る旅は、さまざまな自然と世界の出来事にもまれ、それまでとは大きく異なる様相を見せていく……。〈目次〉泥沼のような日々橇作り犬たちの三国志暴走をくり…

トークは、角幡さんと、旅に同行した写真家・竹沢うるまさんと対談形式だった。竹沢さんの写真がトークと並行して投影されると、話の内容をよりリアルに感じ取ることが出来て良かった。

角幡さんの話を聞いていると、「生きていること」を捉えるために放出する情熱と探求のエネルギーのすさまじい。

トークの最後に、「他人にとって無意味である行為が、自分にとって意味があれば、それこそが存在証明だ」と言っていた。
また、「SNSなど情報が溢れる時代に、本来、自分の行為を決めるのは自身であるはずが、他人にどう思われるかと、他者の視点や価値観を通じて規定され決定され、そうした自己像が量産化されている」と批判していた。

もしも、そうした自己像を内面化していることに気づかない場合は、一体、どこに「自分」があるのか?そうした状態が蔓延した場合、本当はこうしたいという、自身の深い欲求はどのように表出されるのか?
そんな疑問について、自分なりに考えてみたいと思った夜。