
間伐材の枝葉から生まれたタリスマン。山梨県立美術館へ。
受け取った時から始動する、野性の体験。
10月8日から山梨県立美術館で開催される「諏訪綾子 TALISMAN in the woods」。2020年、綾子さんと偶然、道志で知り合ったことから魔法のように生まれたタリスマン。
道志村で行う森林整備で発生した無数の枝葉たち。その枝葉が原料となり水の循環を象徴するアート作品、タリスマンが生まれた。面白いのは、静的なアート作品ではなく、動的であること。
タリスマンは「お守り」「魔除け」を意味する言葉だが、それはギフトとして手渡された瞬間に、初めて「タリスマン」になる。作る人と受け取る人がいないと成立しない。
だから、タリスマンは森から都市へと移動し、一定期間、室内に飾られた後、乾燥したタリスマンはまた森に還され、新たなタリスマンを受け取る一連の流れが、作品となっている。そこには、人と人の間に育まれる贈与を通じた関係性がある。
実は、村では贈与経済の名残は今も色濃く残る。人々はお互いに助け合い、また、助け合わざるを得なかった。
その伝統が、今もふとした日常のやりとりのなかで、ひょっこり顔を覗かせる。それを体験した時、少し幸せな気持ちになり、守られている感覚になる。タリスマンは、そんな贈与の伝統を擬似体験させてくれる。
特に、野菜や農作物が多く、余剰のお裾分けとなる。
缶コーヒーも多いけど(笑)、やはり余剰は自然界から多くもたらされる。間伐は、もともと良質材を選定できるように、実際に利用する本数より多く植えた木を、木の状態を見ながら間引く行為なので、間伐材は利用(建築材)を前提とした余剰でもある。それは、自然から生み出される持続可能な資源の一部であり、木を育てる過程で発生するギフトでもある。
展示会では、展示の他に、リチュアル、トークイベント、マルシェと重ねて展開される。10月15日のトークイベントでは、綾子さんと一緒にタリスマン誕生の背景やその意味などについてお話する予定。
15日、16日はマルシェも同時開催。山に関わる人たちが一堂に介し、森の恵みを様々な手法で展開する方々がブース出展やWSを行う。
何と言っても、今回のイベントが特別なのは、タリスマンの枝葉が、道志村のお世話になっている方や自身や仲間達の手によって集められ、綾子さん監修のもと、妻や友人、知人の手によって作られる風景が動画として記録・公開されること。自分にとって、これは感動的な体験。
さらに、リーフレット、ポートレート写真、動画は、村内にいるクリエイターの仲間と構成しているリトル・トリー、クリエイティブチームによって製作されているため、枝葉だけでなく、クリエイティブ系の製作もオール道志となっている。撮影は主に池谷佳恵さんによるもの。そのクオリティがとても素晴らしいので、ぜひ、多くの方に見て頂きたい。
ある意味、道志村で移住支援を役場と一緒を行なってきた5年間の集大成でもある。それ以前では決して実現出来なかった。だからこそ、その偶然と必然の貴重さを噛み締めてしまう。
「諏訪綾子 TALISMAN in the woods」、ぜひ、お越しください。











